短編旅小説、『キノの旅 the Beautiful World』を読んだメモを、各話ごとに付けています。
 あとで「あの国でのお話、何巻収録だったかな」と振り返るためです。
 ネタバレにお気をつけください。作品からの引用は最低限に留めてあります。

キノの旅 the Beautiful World(2000年)
キノの旅 the Beautiful World Ⅱ(2000年)

キノの旅 the Beautiful World(2000年)
◆最初のページ
世界は美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい
(The world is not beautiful. Therefore, it is.)

◆プロローグ 森の中で・b(Lost in the Forest・b)
◆エピローグ 森の中で・a(Lost in the Forest・a)
キノが何故旅をするのか、続けるのか、その理由を相棒のエルメスに語るシーン。
・本心かどうかは謎だが、キノがエルメスだけに語ることは本心だと思いたい。

◆第1話 人の痛みがわかる国(I See You.)
・国の住民がほとんど出てこない話の中では平和的。
・そして1話目からキノがモテる話になっているのが印象的。
・キノは「カノン」と「森の人」を所持(パースエイダーのこと。この場合は拳銃。以下、この補足は省略)。

◆第2話 多数決の国(Ourselfish)
・国の住民がほとんど出てこない話の中では物騒且つ衝撃的。
・何故この国には人がいないのかは、タイトルだけ読んでもある程度予測できるため、読み始めてしばらくした後に推理してみてもよいかも。
・キノは「カノン」と「森の人」を所持。

◆第3話 レールの上の三人の男(On the Rails)
・国の外でのお話。
・フィクションではあるが、しかし普段の私たちの仕事も、このお話と同じようなものかもしれないと考えたら面白い。
・個人的にはお気に入りの回。

◆第4話 コロシアム(Avengers)
・シリーズの中では、割と長めのお話。短編というよりも中編。
・とにかくキノの強さが際立ち、終始戦ってばかりという珍しい回でもある。最後にネタバラシもあり。
・シズと相棒の陸、初登場回でもある。

◆第5話 大人の国(Natural Rights)
シリーズを語る上では非常に重要な回。
・初代キノ(男性)から今のキノ(12歳の女の子)へ旅が「継承」されるお話。つまりキノの旅、事実上の第1話目にあたる。
・なお、エルメスが初代キノによって修理されて走り始める記念すべき話でもある。

◆第6話 平和な国(Mother's Love)
・タイトルと話の内容が嚙み合わない。しかし、平和が犠牲の上に成り立つと考えれば、噛み合ってしまう。
・読み終えた後に副題の「Mother's Love」に目が行き、なるほどなと腑に落ちた。
・キノは「カノン」と「森の人」を所持。なお、エルメスの発言によると、キノのパースエイダーの段位は四段とのこと。

◆あとがき(Preface)
・作者の時雨沢さん、最初で最後の真面目なあとがき。ちゃんと巻末に記載。
・しかし書いてある内容は、実に時雨沢さんらしい。


キノの旅 the Beautiful World Ⅱ(2000年)
◆口絵 狙撃兵の話(Fatalism)
・師匠と相棒初登場のお話。
・この1話だけで、師匠がどんな性格か、相棒の男と師匠はどんな関係かがだいたい分かってしまう。
・師匠たちはボロボロの黄色い車で旅をしているが、イラストを見る限り、『ルパン三世』でもよく見かける旧式のフィアット500に似ている。要するに見かけによらず可愛い車に乗っている。

◆最初のページ
世界は美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい
(The world is not beautiful. Therefore, it is.)

◆プロローグ 砂漠の真ん中にて・b(Beginner's Luck・b)
◆プロローグ 砂漠の真ん中にて・a(Beginner's Luck・a)
・水がなくてどうしようか、珍しく困るキノとエルメス。
・話の流れから、師匠の元を離れてしばらくした後の話か。
・ただ、運よく雨が降り、旅を続けられることになる(この「運」について、は第8話『優しい国』でも語られている)。

◆第1話 人を喰った話(I Want to Live.)
・冬の森の中で、立ち往生する男3人を助けようとして助けなかったお話。
・典型的な「裏切り」の話だが、キノのことだからそうなるかもしれないと思いつつ、時間を掛けて助けようとした。見返りを求めていなさそうなので、純粋な善意からだと思いたい。
・キノは「カノン」と「森の人」を所持。あとハーモニカ形のサイレンサーやレーザサイト、武器屋のような数のナイフも所持。

◆第2話 過保護(Do You Need It?)
・どこの国とかどんな国とかは一切語られず、キノがある夫婦の口喧嘩に巻き込まれただけの話。
・ただし、「子どもの意見を聞かずに戦争に行かせようとする親」というテーマは大きくて重い。ゆえに考えさせられる。
・戦争の話は度々出てくるが、その中でもこのお話が最もシンプルであろう。

◆第3話 魔法使いの国(Potentials of Magic)
・自作した飛行機のような機械にて空を飛びたいと悩む女性に力を貸すキノとエルメス。
・エルメスはこの機械なら空を飛べると断言。一方キノは半信半疑のまま、「退屈だから」という理由で女性に協力するところが何ともらしい。
・非常に爽快なお話。冒頭のキノとエルメスの何気ない会話も好き。

◆第4話 自由報道の国(Believers)
・ある国で起きた旅人による発砲事件について、2つの新聞がそれぞれ別の主張をしている、というお話。
・果たして真相はいかに。ちなみに副題の「Believers」とは、「信奉者、信者」という意味となり、意味深。
・そんな2つの新聞を読んでいるのはキノ。キノにとって新聞の内容はさほど重要ではなく、今を生きるため松明代わりとして燃やすだけ、というクールさがよい。

◆第5話 絵の話(Happiness)
・街の至るところで見かける戦車の絵。人々はそれらの絵を見ながら思い思いに語るお話。
・しかし描いた本人の動機は至ってシンプル。それだけに奥深く、総じて趣味や芸術などの「始まり」とは、得てしてこんなものかもしれないと気づかされる。

◆第6話 帰郷(“She”is Waithing For You.)
・5年ぶりに自分が元居た国の近くまで戻ってきた男の話。しかし帰郷直前に、キノに撃たれて命を落としてしまう。
・男は国を出た理由、5年間で経験したこと、そして戻ってきた理由が一通り述べられた後で、しかしキノに撃たれて命を落としてしまう。
・何とも不憫でならないが、例え男が元居た国に戻って来れたとしても……。

◆第7話 本の国(Nothing Is Written!) ・国民は1日のほとんどを読書に費やす国にやって来たキノとエルメス。
・ある意味、読書好きにはたまらない話かもしれないし、自らも書きたいと思ってしまう気持ちもよくわかる。ただしキノは冷静でとても現実的な意見を述べているが。
・キノが旅人の先輩として、旅の心構えを語るシーンが印象深い。

◆第8話 優しい国(Tomorrow Never Comes.)
・恐らくだが、読者にもキノにも重要なターニングポイントとなったであろう(なるであろう)回。
・私としても最も好きな話と言ってよい。とにかく優しい国のお話。
・キノが『森の人』を入手する話でもある。パースエイダーの種類から「見られたら師匠に怒られる」と語るキノだったが、ある出来事が起こった後、使うことを決心する。

◆続・絵の話(Anonymous Pictures)
・シズと陸の回。第5話『絵の話』の続き。
・ブームが去り、国民の価値観も変わってしまい、好きな戦車が描けなくなってしまった絵描き。何とも可哀想な展開。
・ここでシズがあと少し、絵描きの背中を押せたなら、きっと好きな絵を描き続けて有名になれたのかもしれない。

◆あとがき(Preface (contains no NETABARASHI of the text.))
・本書の効能や用法、用量などが書かれたあとがき。でもまだ真面目なほう。
・「効能・効果」の欄にある「小説作法学習」「“読んだよ”と言える」使い方は、若き頃に実行済みである。

[更新日:2026/06/21]

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