新 頑張りまっし金沢ことば

 古書店のすみっこに置いてあったのを買った気がする。買った理由は興味本位。
 今にして思えば、こうした本を読んでから金沢検定の挑むべきだったかなと。必ず何かしら出題されるので。

 1994年に北國新聞で連載していた「頑張りまっし金沢ことば」というコラムをまとめた本、それの改訂版。
 タイトルから読み取れるとおり、方言である「金沢ことば(金沢弁)」の意味やルーツ、使われ方について記された1冊。
 私も金沢生まれ金沢育ちの人間だが、聞いたことがない言葉も多かった。また、金沢ことば同士で会話している記述があったが、さらっと読んでいこうとすると、意味がほとんど頭に入ってこないくらいに「訛っている」。年季が入った人同士の金沢ことば会話は、やはりモノが違うなと。

 本の感想とは違うけど、今でもよく使ったり聞いたりする金沢ことばをメモしておく。

・おいね …… 「そうだ」という意味。話を切り出したり、続けて何か言おうとする時に言うが、私は言わない。
・ほーや …… こちらも「そうだ」という意味。返事をしたりする時など。これは言う。
・なーん …… 「いいや」「別に」。会話的にとても使いやすいから好き。
・まいどさん …… 「こんにちは」。「いらっしゃいませ」の意味でも使われている? 金沢ことばといえばコレみたいな感じで知られるようになったが、普段の会話では使われてはいないと思う。
・あんやと …… 「ありがとう」。これも使わない。
・ほんなら …… 「それでは」。これはよく言う。
・わし …… 「私(男性がよく言う)」。これ金沢ことばなのかな?
・うち …… 「私(女性性がよく言う)。これも金沢ことばかな。ただよく使うし、男性も使っている。他の人が「うち」と言うのを聞くと、毎回『うる星やつら』のラムちゃんの顔が思い浮かぶ。
・ねんね …… 「赤ちゃん」「子ども」。あまり聞かなくなった。個人的にもねんねは「寝なさい」の意味だと思っていた。
・おつけ …… 「味噌汁」。飲み屋に行くとたまに聞くことがある。
・くどい …… 「塩辛い」「味が濃い」。この言葉が金沢ことばであると知った時は驚いた。くどいものはくどく、他の言い回しがすぐに思いつかないほど。
・しょっぱん …… 「食パン」。これも驚いた。しょくぱんまんではなく、「しょっぱんまん」でしょ?
・なすび … 「茄子(なす)」。なすびと打って変換しても茄子になるから、茄子はなすび。
・かきやま …… 「かきもち」「あられ」「おかき」。かきやまという表現は永久不滅だと思っている。それだけ金沢の地には浸透している。
・めった汁 …… 郷土料理で、メインの具材として「さつまいもを入れた豚汁」。他に人参やごぼう、こんにゃくなどを入れ、仕上がりは割りと具だくさんになることが多い。
・べろべろ …… 郷土料理である「えびす」の別称。甘めの出汁に卵を溶いて入れ、寒天で固めた料理。私は苦手。金沢検定によく出題されているイメージ。
・もみじこ …… 「たらこ」。紅葉のように赤いから。でも、「もみじこスパゲティー」とは言わない。
・こけ …… 「きのこ(茸)」。こけ汁と言ったら、一体どんなものだろうとびっくりする人も多そうだが、普通の茸汁のこと。
・かたい …… 「行儀の良い子ども」。決して表情が硬いという意味ではないが、大人しい子は表情も少し硬めというイメージはある。
・ちん(とする) …… 「静かにする(して)」。昔からよく言われた。今も時々言われる。もう慣れたもの。
・りくつな …… 「よくできている(考えられている)」。個人的にはあまり聞かなくなった言葉の1つ。
・うざくらしい …… 「面倒な」「気に入らない」。要するにウザいという意味。
・きかん …… 「気が強い」。言うことを聞かない=気が強いということではないが、多少誤用しても誰も気にしないだろう。
・だら …… 「バカ」。個人的には「アホ」ではないかと思っている。聞くと結構きつく感じる言葉かもしれないが、冗談に対する言い返しにも多様されている印象がある。
・ちゃべ …… 「おしゃべり」。ちゃべちゃべと繰り返して表現されることもある。
・どくしょな …… 「薄情な」。これはめっきり聞かなくなったなぁ。
・はがいしー …… 「歯がゆい」。私としては「悔しい」時によく言っていた(あるいは誰かが言っていたのをよく聞いていた)。
・はすわな …… 「乱暴な」。ずっと雑なことを言っているのだと思っていたがどうやら違うみたい。
・おんぼらーと …… 「ゆっくりと」「まったりと」。"おんぼらーとしていきまっし”という使い方が好き。
・なごなる …… 「体を伸ばしてくつろぐ」「休む」。これも聞かなくなった。かわいい表現なのに勿体ない。なんか薬の名前っぽい。
・こそがす …… 「くすぐる」。こそがしいという表現でも使っていたが、最近は聞かなくなったし使わなくもなった。
・がっぱになる …… 「一生懸命になる」「必死になる」。いわゆる周りが見えていない状態を指す。カッパのことではない。
・ちみる …… 「つねる」。金沢ことばの動詞の中では1番怖い言葉かもしれない。
・むたむた …… 「散らかっている」様子を指す言葉。擬音としても使いたくなるくらい可愛らしい感じがするが、金沢で言ったら散らかっているという意味にしかならない。
・かたがってる …… 物が「傾いている」「斜めになっている」という意味。「かたがっとる」とも言う。実はこの本には載っていなかったが、個人的に使う頻度が高いためこっそり仲間入りさせておく。
・こーた …… 「買った(過去形)」。金沢ことばというより西の言葉かもしれない。
・げべ …… 「最下位」。運動会の時とかみんな言ってたなー。下品な言葉の1つかもしれないが、ついポロッと出てしまうので、勝手に『呪いの金沢弁』と称して分類している。
・どぶす …… 「溝」のこと。特に泥などが溜まった汚い溝のことを指すときが多い。これも呪いの金沢弁。
・校下(こうか) …… 「学区、校区」の意味になるが、小学校の下を指すことが多い。つまり自分の暮らす(暮らした)町やエリアのことになる。
・◯題目 …… 曲の「◯番」のこと。◯は数字が入る。"◯題目を歌って”と言われて育ってきたので、今でも◯題目のまま。
・けんけん …… 「先が尖っている」。けんけんの鉛筆とは、削ってある鉛筆のことで、小学生の時は毎日必ず用意しなければならないもの。
・~が …… 例えば”どうするが”(相手に今からすることを尋ねる時など)といった使い方がある。昔は"どうするがん”だったらしい。
・~げん …… 表現が難しいが、「~だって」「~よ」の意味になる。会話時に、ここには無い、あるいは居ない物や人のことを言ったりする時に出ることが多い印象。
・~じー …… 例えば”かっこいいじー”など。これも「~よ」とか「~ね」の代わりかと。羨ましい時や照れ隠しとして言うこともあるらしく、そう聞くとこれもまた可愛らしい。

【おまけ(大のお気に入り)】
・きんかんなまなま …… 「路面が雪で固まったり凍ったりしていてツルツルピカピカ」な様子。地元ではない人にいきなりこんなこと言ったらきっとびっくりするだろう。いきなり言ってみたい。
・しましまにしまっしま …… 「しましま(縞模様)にしなさいよ」という意味。使う機会は皆無だけども、暗号文みたいでなんか素敵。
・ねじねーじ …… 「ネジがないよ」。これもどこで使うのだろうか……と思っていたが、子どもの頃に図工や技術の授業で、本当にそんな場面に出くわして言っていたような記憶がある。

 個人的に金沢ことばは、「元々この地にあった独自の言葉と、東と西から伝わってきた方言とが上手く融合したもの」だと考えている。どちらかと言えば西の言葉のイメージが濃いかな。関西弁と似たところが多数あり。
 ひっそり消えていった言葉は多いと思う。そしてこれからもだんだん消えていくことだろう。でももしかしたら、これからさらに新しく生まれたり、派生したりする金沢ことばがあるかもと考えると、それはそれで面白そうである。
※ちなみに私も時々、勝手に作って1人で楽しんでいる。結構キツイ表現の言葉になりがちだが……ストレス解消の意味で作ることも多い。

新 頑張りまっし金沢ことば
(監)加藤 和夫
北國新聞社
2005年11月発行

[記録日:2026/01/31 | 更新日:2026/02/23]

←前へ次へ→
1つ前のページへ最初のページへページの先頭へ