むらさきのスカートの女
怖そうなタイトルだなと思って購入。表紙のイラストもどこか不気味。ただしカーテンに見えなくもない。
まさかストーカー目線の観察記だとは。
ひたすらむらさきのスカートの女の観察する「わたし」兼語り手。
初めは「わたし」と同じく正体不明で、しかし作中どんどんと変容していくむらさきのスカートの女。
そんな怪しさしかない2人に関する物語だが、作中一番注目すべきは、タイトルの通りむらさきのスカートの女……ではなく「わたし」。そして作中一番怪しいのも「わたし」。
なぜなぜ……と、クエスチョンがいっぱい浮かべながらも物語はテンポよく進んでいき、そして、むらさきのスカートの女絶体絶命の瞬間に、ひょっこりと何気なく「わたし」の正体が明かされる。
読めば読むほどに「わたし」の怪しさが浮かび上がってくる、ちょっと不思議な物語。
蛇足と補足。
最終的には読者の想像力に任される展開となるが、好き勝手に物語を膨らませることもできるため、私は割りと好き。賛否両論あるだろうが、それもまた良しとした物語なのでは。
また、巻末に著者のエッセイがいくつか載っており、これを読めば作中のリアルな人間関係の描写も納得がいく。それと同時に、このエッセイは迷える読者への道しるべにもなるのではないかと感じた。物語とエッセイで『むらさきのスカートの女』は、1つの作品として完成している。
むらさきのスカートの女
(著)今村 夏子
(絵)榎本 マリコ
朝日新聞出版
2022年6月発行
[記録日:2025/01/11 | 更新日:2025/02/08]