ちろり5
『ちろり』は、『舞妓さんちのまかないさん』を読むようになってから存在を知った。しかし、その時には既に紙媒体としては絶版となっており、中古品で探すのに苦労した。
電子書籍としては現在も配信中。でも、この作品は紙の本として揃えておきたかった。表紙より展開を勝手に想像し、そうすべき作品だと感じ取ったためである。
5巻は、カモメ亭の2人(ちろりとマダム)以外の人物にスポットを当てた話が多い。また、カモメ亭から一歩飛び出た回もある。要するに物語としてちょっとした「変化」がいくつも見られる。
前者の中でも特に、ちろりに恋してしまった青年のお話が印象的。何もしていても気になるあの人の姿が思い浮かんでくるという病。そんな彼の話が2回あったが、後の回で本人なりに一生懸命に自身の気持ちに向き合おうとする姿が良い。青臭く、そして尊い。この後、どんのようにしてちろりに気持ちを伝えに行くのか、それとも敢えて伝えないのか、とても気になる。応援してみたい。
後者は、ちろりとマダムが東京へ行き、いろいろな体験をするお話。2人して探索する展開は珍しいが、らしさが凝縮していた。結局、カヒーのある喫茶店に辿り着くところなんかが特に。
物語に派手さは一切ないが、引き込まれるような絵と、この作品ならではの「間」の置き方を、是非知ってもらいたい。
願わくば、もう一度紙媒体で再出版してもらいたいのだが、やはり難しいだろうか。
ちろり5
小山 愛子
小学館
2014年3月発行
[記録日:2025/03/23 | 更新日:2025/03/23]