さんねんごい
ゴールデンウィークに入ったら読み返そうと思っていた作品の1つ。
英名は「A SUMMER DAY」。その名のとおり、夏のある日を描いた作品。以前、『はじっこ書房。』でも感想を書いています。
全ページとも余白なしで、ページいっぱいに描かれた夏模様だったり、
いろんな「緑色」の使い分けや表現だったり、
川で遊ぶ男の子たちの元気で楽しそうな表情だったり、
村や田畑の細部の描き込みだったり、
時間経過とともに少しずつ変化していく空気感だったり。
どれを取っても素晴らしく、芸術作品といって差し支えのないものだと思っています。
これらの内容は前回の感想文でも書いていますが、今回も読み終えた時にぽっと同じ感想が浮かんだため、もう一度そのまま記しました。
こういう作品こそ後世に残すべきなのではないかと考えます。ずっと色褪せるものではなく、また無くなってはならないものでしょうから。
これだけの作品は、なかなか「その場を観察するだけ」で仕上がるものではなく、その場所、時代(時間)に愛着がないと表現が難しいのではないかと思い、少し検索。
お話の舞台は長野県佐久地方。「さんねんごい」の意味は表紙の裏に記載があり、その地方の言葉だと紹介されていました。
そして、作者の菊池さんのご出身も長野県南佐久郡。なるほど、どおりで。しかし、だからといって本作品のように形にできるかといったらやはり難しいと思うので、こうして世に出してくださった菊池さんに感謝を伝えたい。そして、当時どのようにして入手したのかは聞いていないが、実家でずっと保管してくれていた両親にも感謝を伝えたい。
色褪せないとか無くしてはならないとか簡単に書いたが、そもそも後世に伝えるとか引き継ぐという行為自体が、儚くそして奇跡に近いことなのではないかと思う今日この頃である。
さんねんごい
菊池 日出夫
福音館書店
1984年7月発行
[記録日:2025/05/02 | 更新日:2025/05/17]